溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
あれ? 怒らないんだ。


「……う、うん」


そう言われれば私だって文句も言いにくくて、ゆっくり体を起こして髪を整えた。


そんな様子を見て、朔くんは申し訳なさそうに尋ねてくる。


「俺、ヘンなことしなかったか?」


「えっ」


へん、とは具体的に?


「その……」


「ああっ、しがみつかれただけだから!」


恥ずかしいことを言われたら、心臓が持ちそうにないもん。


だからあえて、抱きつかれたを、しがみつかれたに変換させる。


それだけでも、ずいぶんと精神衛生上はマシだよね? お互いに。
< 113 / 326 >

この作品をシェア

pagetop