溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
──ドンッ。


ついに、背中が壁についてしまった。


囲まれて、完全に逃げ場はなくなる。


「あのね、ファンクラブにはちゃんと決まりがあるの。勝手に行動したり、告白したりしたらいけないの。朔さまは、むやみに声を掛けると機嫌が悪くなるでしょ? 私たちは、朔さまが嫌がらないようにひっそりファンでいる、それがルールなのよ!?
なのに、アンタみたいな勝手な人がいると大迷惑なのよっ!」


うう……。


そんなこと言われても。


「あの……」


「なに? 口答えする気?」


会長さんが、手を振り上げた。


ぶたれる──。


顔を背けて目をぎゅっとつむった時。


「ストップ!!!」


どこからか、そんな声が聞こえた。


あれ……? この声は……。


恐る恐る目をあけると。


「真希ちゃん! 蘭子ちゃん!」


息を切らしたふたりが、私の前に立ちはだかっていた。
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