溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
無防備に少し開いた赤い唇。形の良い高い鼻。透明感のある白い肌。


こうして見ると、意外にキレイな顔してんだな。キレイっていうか、どっちかって言うと、可愛い系なのか?


女の顔なんて、久々にじっくり見たかもしれない。


あの女友達ふたりに挟まれていて存在感なんてなかったくせに、その可憐さに、思わずドキッとする。


無意識に触れたい……そんな衝動に駆られて。


髪に手が伸びていた。


元々なのか、少し茶色い髪。


柔らかくてサラサラのそれは、俺の指の間をするすると抜けていった。


と、そのとき。


──パチ。


小春の瞳が突然開いた。


「……っ」


俺たちの瞳の距離は、5センチもないかもしれない。


「え……? 朔……くん」


小春は戸惑ったような声を出し、パチパチと何度も瞬きした。


きっと、寝ぼけてこの状況がよくわかってないのかもしれないが。



──ヤバい。
この状況、なんて弁解する……?
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