溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
俺の体中からぶわっと一気に汗が噴き出した瞬間。


──ガチャン


玄関のドアが開いた音がした。


なんだ!?


ハッとして、咄嗟に玄関まで走っていくと。


「ういーっす!」


両手に買い物袋をぶら下げて立っていたのは。


……俺の天敵、姉貴その1である、希美(のぞみ)だった。


「おい、なにしに来たんだよ」


俺にとっては招かねざる客だが、今はこのタイミングに感謝だ。


ズカズカと上がり込む姉貴と一緒にリビングに戻ると、小春は起き上がって髪の毛や制服をペタペタ触っていた。


俺に対して警戒した目を見せるでもなく、現れた姉貴を前にして、驚いているようだった。


……ホッ。


助かった。


「わっ、あなたがしばらくうちで預かる子!? やだ~可愛いじゃあ~ん」
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