溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
姉貴は小春を見るや否やそう言い、俺の背中をバシッと叩く。


「いって!」


「私、朔の姉の希美です。よろしく~っ!」


つぎに小春の所へ行き、両手をとってぶんぶんと振る。


その慣れ慣れしさに少し困惑しながら、小春はペコペコ頭を下げた。


「ははは、はじめまして、相沢小春ですっ」


「わ~、髪めっちゃ艶々じゃない? どんなお手入れしてるの? 肌も白くてほっぺなんてマシュマロみたい~可愛い~」


「えっ、えっと……」


おどおどする小春を置いてけぼりにして、マシンガントークが炸裂する姉貴。


「この愛想のない奴とふたりっきりなんて、小春ちゃんも災難だよねー。でもね、昔はこれでも可愛かったんだよー」


「おい姉貴っ!」
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