溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
よく分かってんじゃねえか。


「バカにしないでよね。これでもひとり暮らしして、3年経つのよ」


「そのひとり暮らしをしてから、ここで家族に料理を振舞ったことなんて1度もないけどな」


「シャラーップ! 見てなさい、今にその実力がわかるから」


得意げに指をさす方向には、買い物袋がふたつ。


本当になにかを作るらしい。


「ってことで、ご飯出来るまで、あなたたちはお風呂入ったり宿題したりゆっくりしてて~」


姉貴は二コリと怪しい笑みを俺らに見せると、鼻歌を歌いながらキッチンへ向かった。


はあ……イヤな予感しかない。


でも突っ走ったら何を言っても聞かない姉貴。


まだおどおどしている小春に、俺は無言でうなずき、二階へ上がった。


それから風呂に入り、リビングへ戻ると……。


「えっ、火事?」


料理中のいい匂いとは程遠く、焦げ臭いにおいが充満していた。
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