溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
メシが終わると、姉貴は小春とソファに移動した。とにかく姉貴が小春のことを気に入ったらしく、離さないんだ。


小春だって本当は嫌だろうに、うんうんと頷きながら話につき合ってやってる。


「もー聞いてよ! あたし、振られたの」


挙句には、赤裸々な話まで。


またか。俺はガックリ肩を落とす。


早く嫁にもらってくれる男が現れてくれたら、少しはマシになるんじゃないかって期待してんだけど。


「お前はひとりでも生きていける。でも、アイツは俺がいないとダメなんだーなんて言ってさ。あたし、ぶりっ子女に負けたのっ!」


あーあ。ご愁傷様。


男もよくわかってんな。


と、俺は男の味方をしたが。


「……グスンっ」


姉貴はしおらしくうなだれて、小春の肩に頭をつけた。


……らしくねえな。
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