溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「どーする?」


「へっ?」


わっ、ヘンな声出ちゃった。


「ど、どうする……とは?」


恐る恐る聞く。


「姉貴もああ言ってたことだし……一緒に行く……? 祭り……」


朔くんが、チケットを2枚掲げる。


「えぇっ?」


私と朔くんが!?


そんなことしたら、朔くんのファンクラブの皆様に何をされるか。


そんなのムリムリ!


もう、あんな思いしたくないよ。


それに……。


そのお祭りは、サキちゃんとの10年越しの再会を約束してるし。


「あ、あの……私、別の人と約束してて……」


正直に告げると、ハッとしたような顔を見せた朔くん。


バツが悪そうに、視線を逸らした。


「じゃあソイツと使えよ。……ちょっと出かけてくる」


そう言ってチケットを私に押し付けた朔くんは──


夜まで帰ってこなかった。
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