溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「朔くん、お帰り」
「……」
8時ころ帰ってきた朔くんは、出て行った時と変わらず不機嫌だった。
無言でちらりと私を見るだけ。
まるで、以前の教室で見ていた朔くんみたいでビクッと肩を上げた。
「あ、あのご飯は……?」
恐る恐る声を掛ける。
「……食ってきた」
「そっか……」
今日は休みだったから、時間をかけてビーフシチューを煮込んだのに。
一緒に食べようと思って待ってたし、ちょっぴり残念。
「それから」
不機嫌な目を私に向ける。
「もう明日から、俺のこと起こさなくていいから」
それだけ言うと、部屋へ引き上げてしまった。
どうしたの? 朔くん……。
私、なにか怒らせるようなことしちゃったかな。
でもいつにない怒りを感じて、翌朝、私は朔くんの部屋に立ち入ることが出来なかった。