溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
いそいそと廊下に出てきた小春は、ほんのり頬が赤く染まっている。


……は?


……なんの話してんだよ。


俺は窓の外を見るふりをして、そばで聞き耳を立てた。


「また子猫の写真が増えたからさ」


副会長はおもむろにポケットからスマホを取り出し、小春の前に見せた。


「きゃああっ、かわいいですね~っ」


動物で釣るなんて、下心まるわかりだっつうの。


頭と頭を寄せ合って笑顔でスマホをのぞきこむふたりの姿に、今まで抱いたことのない感情が沸き上がってくる。


あー、むしゃくしゃする。


「わぁっ、これもめっちゃ可愛いです~」


ふわりと柔らかく下がる目元、優しく上がる口元。


あー、もう。


んな無防備な笑顔、男の前で見せてんなよ。
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