溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
1時間目に現れなくて、起こさなかったことを後悔したんだ。


来るまでほんとに落ち着かなかった。


「……べつにいーけど」


「じゃあ、起こすね」


自分から抱きしめられに行くようなものだけど、それも含めて覚悟を決めて言う。


朔くんもそれがわかるからか、ちょっぴり気まずそうに目をそらす。


「あっ、そうだ!」


私は、朔くんに英語のノートを差し出した。


「なにこれ」


「今日の英語でやったところ。授業出てないから困ってると思って」


朔くんは、目を丸くする。


「もしかして、もう誰かに借りちゃった?」


だったら、ただのおせっかいだよね。


あわててノートを引っ込めようとすると、奪うように引っ張っられた。


「誰にも借りてない。いる」


「あ、うん」


こんなに素直に受け取ってもらえるとは思わなかったけど……なんか、うれしい。


それを膝の上に置いた朔くんは、思い出したように口を開いた。
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