溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「私、猫が好きなの。先輩の家には沢山猫がいて、それで……!」


「つうか、行くなよ」


反対に、やけに冷静な声が落ちた。


真顔になって注がれたのは、射抜く様な目。


「えっ……」


どくんっ。


整いすぎた顔面でそんなことを言われて、思わず言葉を失う。


「"え"じゃねえよ。なんかあったらどうすんだよ」


「な、なんか……って?」


キョトン、と首を傾げれば。


「とにかく行くな。ここに住んでいる間は、俺の言うこと聞けよ。なんかあったら俺の責任になるんだし、小春の家族に面目立たねえだろ」


「そ、そんな大げさだって! 平井先輩はそんな人じゃないよ」


「平井先輩とやらは随分信用されたもんだな」


舌打ちを交えながら言い放つ朔くんは、かなりイライラしている様子。


ちょっと怖い……。


せっかく、機嫌が直ったと思ったのに。
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