溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「ほんとにごめんね? 私、暗いところすごく苦手で。なんていうか、一瞬にして、世界にひとりぼっちになったような気がして怖くなるの」


「ああ、わかるかも」


暗闇って、気持ちまで吸い取られるような変な感覚があるからな。


小春の意見に賛同すると、パッと目を輝かせる小春。


「だよねっ! こういう価値観ってなかなか分かってもらえないから、なんか嬉しい」


そう言って、本当に嬉しそうな顔をする小春。


ドクンッ。


……やべえ、その顔が見れない。
 

毎朝抱きしめる小春のことを、心地いいと思っていたのも、俺の気持ちが入っていたからだったんだろう。


今すぐ打ち明けたかった。


俺が、10年前一緒に夏祭りに行った相手だって。


でも小春は今年の夏祭りで、10年越しの再会を楽しみにしてるんだろ……?


"サキちゃん"、との……。
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