溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「なに怒ってんの」


「そりゃ怒るって。あの”永瀬くん”が急に女子と喋ったり、名前で呼んだりしたら暴動が起きるって言ってるの!」


そう言っても、まるでピンときてない様子。ポカンとした顔で、私を見ている。


……ほんと、もっと自分の人気を自覚してほしいよ。


「大げさだなあ……」


長い足を組み替えながら笑う朔くんは、ことの重大さが全くわかってない。


「だって、ファンクラブまであるんだからね」


だから、今度こそ分からせようと思ったんだけど。


「ああ、俺もそのウワサ知ってる。ファンクラブなんてあるわけないじゃん」


笑い飛ばして全然本気にしてない。


それが存在するんだってば!


「もう……とにかく、一緒に住んでることヒミツって朔くんが言ってきたんだから、その辺はちゃんと守ってよね」


「はいはい」
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