溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

そんなある日のお昼休み。


「あっ、しまった」


教科係は授業が始まる前に先生の所に行って、配布物を持ってくるなどのお手伝いをしなきゃいけないんだけど。


次が自分の係の英語だってことをすっかり忘れてしまっていた。


蘭子ちゃんと真希ちゃんは、まだ水道で歯磨きをしている。


私は駆け寄ってふたりに告げた。


「次英語なのすっかり忘れちゃってた、ちょっと行ってくるね!」


「ちょっと待って、いま口ゆすぐから」


「急がなくていいよ! すぐ近くだし、ぱーっと行ってくるよ」


泡だらけの口で軽く手を挙げた真希ちゃんににっこり笑い、私はひとりで英語の先生の元へ向かった。


いつまでも、ふたりに迷惑ばっかりかけていられないしね。


周りを気にしながら無事に先生からプリントを預かり、教室へ戻る途中。


ちょっと急ぎ足で階段を落りているときだった。
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