溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
本音を言えば嬉しいけど、こんなの公開処刑に過ぎない。
でも朔くんは、私の言うことなんて全く聞いてくれない。
「うそっ! ちょっとあれ見て!」
「きゃー、なにあれっ……!」
当然のようにざわつく廊下。
朔くんが廊下を歩くだけでもみんなの視線が集まるのに、今の朔くんの姿はみんなにどう映ってるんだろう。
廊下の脇にみんなが逸れて、朔くんが歩く道を開けているのがわかる。
私は出来るだけ顔を隠す。
スローモーションに見えるほど長く感じる時間だった。
「小春っ!?」
「どうしたのっ」
教室に入った瞬間、顔色を青くしたふたりが駆け寄ってくる。
「えっと……」
一緒に住んでることを知っているふたりだけど、こんな姿にはびっくりだよね。
朔くんは私の席につくと、やっと下ろしてくれた。