溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
そんなことを考えながら、昇降口まで行った時だった。
──グイッ
いきなり手をひっぱられたかと思ったら。
「そうそう~」
「だよね~」
「きゃははは~」
女子ふたりが私の両腕を掴みながら、わけのわからない会話をしながら校内へ戻っていく。
「えっ? なに?」
両脇のふたりは、面識もなければ友達でもない。
いきなりのことに面食らっている間に、階段のところまで引き戻された。
えっ、どこに行くの!?
「まじ信じらんなくてさー」
「あーわかるー」
そこで気づいた。
この人たち、朔くんのファンクラブ関係……?
階段を昇っている間にも、上から降りてくる生徒もいる。
こんな風に話していたら仲良しだと思われて、無理やり連れていかれてるなんて思わないだろうから。