溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「やめてっ、離してっ」


私が嫌がると、つかむ腕にぎゅっと力を込められて。


「どこにっ──」


「だよねー」


「きゃはははは~」


私の声がもれないように、大きな声をかぶせてくる彼女たち。


こんなやり方卑怯だよっ……。


今度はなにされるの……?


私はあっという間に最上階まで登らされていた。


いつもは鍵が締まっている屋上の扉は開いていて。


屋上に足を踏み入れたところで、両脇の二人は思いっきり腕を離した。


「ふふっ、来たわね」


腕組みをしながら近づいてくるのは、ファンクラブの会長さん。


それからこの間と同じ、ファンクラブの人だろうと思われる人が10人くらい。


「ねえ、この間言ったこと忘れたの?」


するどい目。


この間のときよりも目が怖い。


本気だ。
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