溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
……朔くんが可哀そう。そう思った。


ただ、純粋に朔くんのことを好きだけならいいけど、こんなことをする人たちの集団だなんて。


「永瀬くんのこと、本気で好きならこんなこと──」


「調子に乗ってんじゃないよ!」


ドンッ。


「きゃっ……」


突き飛ばされて、冷たいコンクリートの上に、しりもちをついた。


私の言葉になんて1ミリも耳も貸さない会長さんは、上から私をにらみつけるだけ。


「行こう」


そして私のカバンをひったくり、みんなを引き連れながらぞろぞろと入り口の方に向かって。


ガシャン!


思いっきり鉄の扉が閉まった。


えっ。


嫌な予感がする。


慌てて立ち上がり、そこへ走っていきドアを引っ張ってみたけど。


ガシャンガシャン!!


鈍い音をたてるだけで、ドアは開かない。
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