溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
淡々と放つ俺の瞳と声がよほど冷たかったのか、その教師は黙ったままうなずいた。


それから、タクシーが学校に到着し、小春を連れて帰った。


俺たちの住む、あの家へ……。




「……ってことで、来てくれたら助かる」


タクシーの中で、金子に電話を掛けて事実を説明した。


小春は全身びしょ濡れだ。


着替えさせてやりたいけど、俺一人じゃ色々と無理があると思ったんだ。


それに……俺のせいでこうなった小春。


目を覚ました時に、俺より金子がいた方が安心するだろう。


家につくと、すぐ金子が来てくれた。


「小春はっ!?」


真っ先に小春に駆け寄り、ぐったりしたその姿に言葉をなくしていた。


雨に濡れた頭を優しく撫でる。


「……かわいそうに……」


痛いほどにその気持ちがわかる。俺も胸が痛くてたまらなかった。


これは、俺が今まで女に冷たくしてきた結果なんだよな。
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