溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「探してくれてありがとう。そうじゃなかったら、私今でも屋上にいたかもしれない」
口にして、もっとゾッとした。
「当たり前だろ」
朔くんは、強くそう言ってくれた。
そうだよね。
この家で預かっている身として、何かあったら困るもんね。
そこに特別な想いなんてない……そう思うと、少し胸が痛い。
「朔くん……ご飯たべたの……? 作れなくてごめんね? 今日は餃子を作ろうと思ってお肉買ってたん──」
「そんなのどうでもいいって」
私の言葉を遮った朔くんは、私を抱きしめた。
「……っ!」
ビックリしたけど、その胸があったかすぎて。
なんだかすごく落ち着いて。
「ふえっ……」
急に糸が切れたように、涙がこみ上げてきた。
「我慢すんなって」
胸のなかで聞く朔くんの声。