溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「……っつてもなあ……俺らばかっり、なぁ……」


日頃から、ノロケばかり聞かせて悪いとでも思ってるのか。


まあ……会話の大半は、彼女のノロケ合戦なのは事実だが。


「俺のことは気にすんなって。勝手にしろよ」


「って言っても……やっぱり……」


「だよなあ……」


他の奴らは気まずそうに顔を見合わせる。


俺がいいっつってんだからいいってのに。


「ちょっと考えて見ろよ。女ってみんながみんな悪いやつばかりじゃないぜ?」


「そうだぜ? 中にはいい子もいるって」


そんなダチの助言が、かずかに俺の心の一部を刺激する。


遠い記憶の、淡い思い出……。


柔らかい、笑顔──


「いや、いい」


それを消し去り、俺は首を横に振った。
< 24 / 326 >

この作品をシェア

pagetop