溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

「ことあるごとに、小春に嫌がらせしてるんだってな」


「な、なんの話……?」


シラをきりと押そうとするコイツに、俺の怒りは頂点に達した。


──ガシャンッ!


非常階段の扉を手で殴る。


寺田はビクッと肩を震わせた。


アンタに手を挙げなかっただけ、よく我慢したと思ってほしいくらいだ。


女じゃなければ、間違いなく殴っていたレベルで俺の怒りは頂点に達している。


「この間は階段から突き落として捻挫させて、昨日は屋上に閉じ込めただろっ!!」


「ど、どうして……それ……」


もう言い逃れは出来ないと観念したのか、真っ青な顔で声を震わせる。


「どうしてって? 土砂降りの雨の中、屋上から助け出したのは俺だからな」


「……!!」


顔面蒼白になって、手を口に持っていく寺田。


「自分がやったことわかってんのかよ!」


凄みを聞かせてそう言うと、寺田は必死に弁解を始めた。
< 245 / 326 >

この作品をシェア

pagetop