溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「ことあるごとに、小春に嫌がらせしてるんだってな」
「な、なんの話……?」
シラをきりと押そうとするコイツに、俺の怒りは頂点に達した。
──ガシャンッ!
非常階段の扉を手で殴る。
寺田はビクッと肩を震わせた。
アンタに手を挙げなかっただけ、よく我慢したと思ってほしいくらいだ。
女じゃなければ、間違いなく殴っていたレベルで俺の怒りは頂点に達している。
「この間は階段から突き落として捻挫させて、昨日は屋上に閉じ込めただろっ!!」
「ど、どうして……それ……」
もう言い逃れは出来ないと観念したのか、真っ青な顔で声を震わせる。
「どうしてって? 土砂降りの雨の中、屋上から助け出したのは俺だからな」
「……!!」
顔面蒼白になって、手を口に持っていく寺田。
「自分がやったことわかってんのかよ!」
凄みを聞かせてそう言うと、寺田は必死に弁解を始めた。