溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「え、じゃねえよ。本人が迷惑っつってんだから、当然だろ」
「……は、はい」
うなだれる寺田をそこに置いて、俺は教室へ戻った。
それから、先生たちにも昨日のことを報告して、関わった奴らにはそれなりの処分を下してもらうようお願いした。
これは、れっきとしたイジメだ。
学校としても、このまま放っておくことは許されないだろう。
それでも、俺の煮えくり返った腹はおさまらないが……。
昼休み、寺田は俺のファンクラブのメンバー全員の電話番号を書いたメモ用紙をもって来た。
すぐに、小春に無言電話を掛けた番号を探すが。
「ねえな……」
20数個ある番号の中から、同じものはなかった。
それでも、違うとは言い切れない。
だったら、誰が無言電話なんてかけてくるんだよ。
「朔~、今日カラオケ行こうぜ~」
放課後、俺の気を知りもしない新太がそう誘ってきたが、
「それどころじゃねえんだよ!」
授業が終わると、俺は一番に学校を飛びだした。