溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「おめでとう!」


これは嬉しいことなんだよね。


笑顔でパチパチと拍手する私は……じつはちょっと複雑だった。


転校かぁ……。


せっかく真希ちゃんと蘭子ちゃんと仲良くなれたのに、それだけが残念。


「それがだな」


なのにお父さんは少し困ったような顔をしていて、私は拍手を止める。


ん? どうしたのかな?


なにか問題でも?


「今回は、一応応援という形でな。しかも、赴任先の治安や生活環境は決していいとは言えないんだ」


「え? ニューヨークじゃないの?」


「そうなんだよ。だから、小春を連れて行くわけにはいかなくて。大事な娘を危険にさらすわけにはいかないだろう」


え? え? どういうこと?


「それでね」


困惑している私に、少し言いにくそうにお母さんがあとを引き継ぐ。
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