溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

5時間目は化学の授業で、理科室で実験の予定。


真希ちゃんと蘭子ちゃんと移動していたら、前から平井先輩が歩いてきて。


私に気づいた平井先輩が、「あ」って顔をして手を挙げた。


私はぺこりとお辞儀する。


「小春ちゃん」


そのまま足を止めた先輩に、私も足を止めると、真希ちゃんたちが「先に行くね」と先輩にお辞儀をして去っていった。


今日も爽やかな笑顔の平井先輩は、少し照れたように言った。


「あのさ、今度一緒に映画見に行かない?」


「えっ!? 映画ですか?」


突然のお誘いに戸惑う私。


今まで、男の人からそんな誘いなんて受けたことないからびっくりする。


「保護猫とその飼い主の一生を描いた映画、今やってるじゃん」


「ああっ、それ知ってます! すごくいい作品みたいですよね」
< 262 / 326 >

この作品をシェア

pagetop