溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
5時間目は化学の授業で、理科室で実験の予定。
真希ちゃんと蘭子ちゃんと移動していたら、前から平井先輩が歩いてきて。
私に気づいた平井先輩が、「あ」って顔をして手を挙げた。
私はぺこりとお辞儀する。
「小春ちゃん」
そのまま足を止めた先輩に、私も足を止めると、真希ちゃんたちが「先に行くね」と先輩にお辞儀をして去っていった。
今日も爽やかな笑顔の平井先輩は、少し照れたように言った。
「あのさ、今度一緒に映画見に行かない?」
「えっ!? 映画ですか?」
突然のお誘いに戸惑う私。
今まで、男の人からそんな誘いなんて受けたことないからびっくりする。
「保護猫とその飼い主の一生を描いた映画、今やってるじゃん」
「ああっ、それ知ってます! すごくいい作品みたいですよね」