溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
家に誘われたときみたいに、ホイホイ誘いに乗るのかと思ったら、小春はどこか困っているように見えて……。
気付いたら手を掴んでた。
授業に遅れたらまずいってのを言い訳に、その場から小春を連れ去って。
俺の方が、小春に近い男だって見せつけるように。
でも、実は焦ってる。不安はぬぐえない。小春が、副会長のことを好きかもしれないと。
期末テストのことなんかより、俺はそのことで頭がいっぱいだ。
ジャージャーとシャワーの流れる音を聞きながら、また教科書に向かったとき、
机に置きっぱなしだった小春のスマホが「ブーブー」と音を立てた。
メッセージか何かかと思ったが、しつこく鳴り続けているようで、バイブ設定のスマホは机の上を踊るように回っている。
……まさか、な。
まだ無言電話なんか続いたりしてないよな?