溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

カーテンを開けて唖然。


まだ夜なんかじゃないのに、空は灰色の雲に覆われていて。雨がぽつぽつ落ちてきていた。

きゃーーーーー。


せっかくシーツを洗ったのに。


「急げっ、急げっ……!」


言いながら階段を駆け下りてリビングへ。


そのまま庭へ繋がる大きな窓を開けて、サンダルに足を突っ込んで、庭に干したシーツを掴んだ瞬間。


「うわっ、きゃっ……!」


濡れた芝で、足が滑ってしまった。


シーツを掴んだまま、私の体は反転して……。


「……っ!」


地面に体が叩き付けられるのを覚悟したとき。


その寸前、黒い影が飛び込んできて。


ふわり、とシーツが私を覆って……。


私は誰かに抱き抱えられるように、シーツにくるまりながら、芝の上に体が倒れた。


それは、スローモーションのようで……。
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