溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

ゆっくり手を引かれ、私は体を起き上がらせた。


「もう、抑えらんなくって……」


うなだれたように、朔くんは言った。


抑えられないって、どういうこと?


意味わかんないよ。


「ダメだよ……彼女さんがいるのに……っ」


自分からは言うつもりなんてなかったのに、口からはそんな言葉が出ていた。


朔くんを見ると、いつもあのキレイな人の影がちらつくの……。もう、私の中でも限界だったのかもしれない。


「え? 俺、彼女なんていないけど」


一転、ポカンとした表情の朔くん。


ウソを言っているようには思えない。


そのあと、心臓が止まりそうな言葉が耳に届いた。


「俺が好きなのは……小春だけだし……」


それは、雨の音に交じって。


え……?
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