溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

待って待って。


朔くんが私を、好き……?


空耳を聞いているのかと思って、ポカンと口を開けてしまう。


私をまっすぐに見つめる朔くんの顔は、シーツの影のなかでも真っ赤と分かるくらいに染まっていて。


それは、耳から首元まで。


「あ、あのっ……」


何も考えずに出した声は震えていた。


だって……、だって……。


心臓が思いっきりバクバクしてる。


「朔くん……つき合ってる人……いるんだよね……?」


確認するように問いかけた私。


この目ではっきり見たんだから。


「それ、なんの話?」


目を丸くする朔くんに、私の方がもっと目を見開く。


「だって……この間……駅ビルで、キレイな先輩と一緒にいたのを見て……」


「え?」


一瞬、わけが分からないような顔をした朔くんだったけど、すぐに思い出したように
顔を歪めた。
< 285 / 326 >

この作品をシェア

pagetop