溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「ま、まっさか~……」
笑い飛ばしたいのに、顔が引きつる。
だって、そんなこと……。
「小春は鈍いな」
この変な空気を変えるように、おでこを指でツンと弾かれる。
「いたっ」
不意打ちなそれに、おでこに手を当てる。
「家に誘ったり映画に誘ったのを断られたりして、そんな行動に出たのかもな」
「そっ……か……」
平井先輩が……。
じゃあ、帰り道、あとをつけていたのも平井先輩だったのかな。
よく考えたら、朔くんのファンは家くらいもう突き止めてるよね。
私がそこへ帰っていたら、とんでもない騒ぎになってはずだもん。
ピンポーン。
とそこへ、家のチャイムがなった。
誰だろう?
2人だけで住んでいる家に届く荷物なんてないし、お隣さんからの回覧板だってポストに入ってるから、来客なんて珍しい。