溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「はーい」
玄関のドアを開けて、そこに立っていた人物に驚いた。
「……っ、平井、せん……ぱいっ……!?」
たった今、平井先輩の話をしていて。
無言電話が平井先輩だったと聞いた今、その人が目の前に現れてイヤでも顔が引きつってしまう。
「誰ー?」
そのとき、後ろから朔くんが声を掛けてきて。
ハッ!
ここで朔くんが出てきたらまずい!
そう思ったのに、朔くんはそのまま靴を履いて顔を出す。
「……っ!」
朔くんを纏う空気が一気に変わった。
「おい、なにしに来たんだよ」
ものすごくぶっきらぼうな口調。
仮にも先輩なのに、その口の利き方はもうケンカを売っている。
「え?」
私と朔くんを見比べて固まる平井先輩。
「ここは、小春ちゃんの家じゃ……」
「ここ、俺んちなんだけど」
「ええっ?」
朔くんが堂々と言うと、ものすごくびっくりしたような顔をする平井先輩。