溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

「はーい」


玄関のドアを開けて、そこに立っていた人物に驚いた。


「……っ、平井、せん……ぱいっ……!?」


たった今、平井先輩の話をしていて。


無言電話が平井先輩だったと聞いた今、その人が目の前に現れてイヤでも顔が引きつってしまう。


「誰ー?」


そのとき、後ろから朔くんが声を掛けてきて。


ハッ!


ここで朔くんが出てきたらまずい!


そう思ったのに、朔くんはそのまま靴を履いて顔を出す。


「……っ!」


朔くんを纏う空気が一気に変わった。


「おい、なにしに来たんだよ」


ものすごくぶっきらぼうな口調。


仮にも先輩なのに、その口の利き方はもうケンカを売っている。


「え?」


私と朔くんを見比べて固まる平井先輩。


「ここは、小春ちゃんの家じゃ……」


「ここ、俺んちなんだけど」


「ええっ?」


朔くんが堂々と言うと、ものすごくびっくりしたような顔をする平井先輩。
< 300 / 326 >

この作品をシェア

pagetop