溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

そうだよね。


私の家だと思ってきたんだろうから。


……やっぱり私のあとをつけていたのは、平井先輩だったんだ。


「ど、どうして君がっ!」


「おいお前。小春に無言電話かけただろ」


困惑する平井先輩に、朔くんが勢いよく詰め寄っていく。


平井先輩は圧倒され、ジリジリと下がり私道の方まで出てしまう。


「どうしてそれっ……」


そこまで言って、ハッと手で口を押える。


……やっぱり、平井先輩だったんだ。


「つーか、何しに来たんだよ」


胸元をトンッと押すと、あっけなく後ろにひっくり返りそうになる平井先輩。


平井先輩って……もっと堂々としている人だと思っていたのに。


なんだか残念なその姿に一気に平井先輩への尊敬の念が薄れていく。


無言電話も、あとをつけていたのも平井先輩だったなんて、なおさら。
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