溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
あの時は、うっかりコクってしまったと思ったが、まさか小春も俺のことを好きだなんて夢にも思わなかった。
好きと言われて、人生で一番嬉しかった瞬間だ。
どれだけの女に好かれたって意味ない。
ただひとり、小春だけに好かれればそれでいい……。
「母さんが帰ってきても、朝は小春が起こすこと。な」
「ええっ?」
驚き声をあげる小春の体をほどき、くるりとこっちに向き合わせた。
「そそれはっ……」
顔を真っ赤にさせて目をそらす小春。
もっといじめたくなる。
って、俺は幼稚園児か。
でも、その幼稚園児時代どころか今まで恋なんてものに無縁だった俺。その愛情表現は幼稚園児レベルで上等だろ。
「で、でも、しばらくは夏休みだから……起こしに行かなくていいよ、ね?」
「小春が起こしにこなかったら、俺はいつまでたっても起きて行かないからな」