溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

これから俺は、小春の浴衣の着付けをするのだ。


ひとりで着られないと悩んでいた小春に、俺が着付けてやるよなんて言ったら、目がテンになっていた。


「男の子に着付けてもらうなんて……やっぱり恥ずかしいなっ」


俺は昔から姉貴の着付けに駆り出されていたおかげで、浴衣の着付けはバッチリだ
ったけど。


自分の彼女を着付けることになるとは……。


「来年は自分で着付けできるように頑張るから、そしたら一緒にお祭りに行ってくれ
る……?」


少し遠慮がちに言う小春。


やべっ……。


そんなこと言われたら、着付けるどころか全部脱がしてやりたくなるじゃねえか。


「んなの当たり前だろ」


嬉しくてたまらねえ。


ちゃんと、"1年後の俺たち"の保証がされているようで。


今年は、“サキちゃん”との約束があるから俺と祭り行けないことに、申し訳なさを感じているみたいだ。
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