溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
結局、俺とのデートになるんだけどな。
そう思うと、ニヤケが止まらない。
ものの10分もあれば、着付けは終わった。
「ありがとう」
嬉しそうにはにかむ小春は、鏡の前でくるくると回ってみる。
「すっげー可愛い。あー、やっぱ一緒に行けないの残念だなあ」
「ほんとにごめんね……」
申し訳なさそうに謝ってくる小春に、逆に申し訳ない気持ちになってきた。
俺が"サキちゃん"だなんてこと、小春は夢にも思わずに純粋にサキちゃんの再会を楽しみにしているんだから。
「じゃあ、行ってくるね」
「ああ、楽しんで」
「帰るときには電話するから」
「分かった」
やがて時間になり、小春は本当に楽しそうに出かけて行った。