溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

「ちゃんと、小春に会いに来たよ……10年前の約束通り」


薄暗くなってきた中、朔くんの真剣な瞳がそこにはあった。


え? どういうこと?


「小春……ごめん。実は、俺があのときのサキちゃんなんだよ」


「え?」


朔くんがサキちゃん?


「やだ、なに言って」


そんなことあるわけないよ。


サキちゃんは女の子だったもん。


「信じてもらえないかもしれないけど、あの時、10年前にこのお祭りに小春と一緒に来たのは、俺なんだよ」


「……」


うそ、だよね……?


なにを言われているのか、よく分からない。


「これ、見て」


朔くんがポケットから取り出したのは1枚の写真だった。


それは少し古ぼけたものだけど、写っているのは確かに幼いころの私。
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