溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
香織さんそれはナイデスヨ……と思ったのは、私だけじゃなかったみたいで。


「はあっ? ふざけんなって」


なんでコイツと、と言わんばかりに目を剥いて反論する永瀬くん。


うっ……、そこまで勢いよく否定されると地味に傷つく。


「照れなくてもいいのに~」


「誰がっ……」


永瀬くんは呆れたように言うと、カバンをひっつかんで玄関を出て行ってしまった。


──ガチャン!


大きな音を立てて玄関の扉が閉まった。


「も~、朔ったら~」


「女子と一緒に登校なんて恥ずかしいですよ」


まだプリプリしている香織さんに、永瀬くんをフォローする。


これから毎朝言われたんじゃ、私の心臓にも悪いし。


話しやすいフレンドリー男子ならともかく、私がムリだって。
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