溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「いいのよいいのよ~。朔の作るついでだし、1個も2個も変わらないでしょ?」


「でも……」


「いいのいいの、あっ!」


そのとき、私の言葉を遮るように、香織さんが大きな声で叫んだ。


びっくりして、思わずお弁当を落としそうになっちゃう。


香織さんってば、リアクション大きいし、百面相しているみたいで面白いんだよね。


「朔ってばお弁当忘れてるじゃない!」


えっ?


見ると、キッチンカウンターの上に青いバンダナに包まれたお弁当がひとつ取り残されていた。


永瀬くん、慌てて出て行ったから忘れちゃったんだ。


うちの高校は公立だから学食なんてないし、男子もみんなお弁当を持参している。


すると、香織さんはあり得ないお願いをしてきた。


「小春ちゃん、悪いんだけど朔のぶんも一緒に持って行ってくれる?」
< 75 / 326 >

この作品をシェア

pagetop