溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「えっ」


そ、それは無理なお願いかと……。


朝起こすのに匹敵するくらい難しいと思う。


「よろしくねっ!」


それでも特大のスマイル付きで渡されて、私はため息とともにうなずくしかなかった。


居候の身だし、そもそも同じ学校なんだし、当然のことなのかもしれないけど。


けど、けど!


目も合わせるのも怖い永瀬くんに、どうやってこのお弁当を渡せっていいうの!?




「はぁ……」


学校に着いてからも、私はずっとため息が止まらなかった。


今は3時間目。


だけど、まだ朔くんにお弁当を渡せていないから。


結局朝学校へ着いたときに渡すタイミングを逃して、ここまで来てしまった。


リミットは、あと1時間。
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