溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
そう! 入ってないの! 気づいて! こっち向いて! 


……と、念を送っていると……チラッと顔をあげた永瀬くん。


その瞬間、私は永瀬くんのお弁当箱を一瞬掲げた。


すると、すっと席を立った永瀬くんは、廊下へ出て行く。


えっ? どういうこと?


「お腹空いたね~」


真希ちゃんと蘭子ちゃんが私のところに来て、近くの机をくっつける。


でも私は、


「先に食べてて!」


ふたりにそう言い残し、教室を飛び出した。


永瀬くんは、手をポケットに突っこんだまま廊下をスタスタと歩いて行く。


その間も、そんな姿を遠巻きにぽーっと眺める女の子たち。


相変わらずすごい人気だなぁ……。そして、その視線を感じないかのように歩く永瀬くんもすごい。


お弁当をもって後を追いかける私はまるで不審者。


足が長いからなのか、歩くスピードが速くて、それについて行くのが必死。
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