溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
***


「ただいま帰りました」


家に帰ると、香織さんがリビングで慌ただしそうにスーツケースに荷物を詰め込んでいた。


「あっ、小春ちゃんお帰り」


顔だけあげて、返事をする香織さん。


なんだか、旅行の準備でもしてるように見えるんだけど……。


「あの……どうかしたんですか?」


声を掛けると、香織さんはものすごく困ったように眉根を下げた。


「実はね……おばあちゃんが体調を崩して入院することになっちゃったのよ」


「ええっ!? それって、大変じゃないですか!」


詳しく話を聞くと、他県に住む香織さんのお母さんが、急に入院することになったみたい。


いまはひとり暮らしをしていて、他に面倒を見てもらう人もいないらしく。


「ってことで、しばらくお世話しに行かないといけないのよ」
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