溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「ほんとだー、あれだろあれ」


「なんで相沢さんが持ってんの?」


あのっ、私っ……。


みんなにじろじろと見られて気まずいったらないよ。


それでも、永瀬くんだけは決してこっちを見ようとしない。


それはとてもありがたいことで、だったら逆にチャンスなのかもしれない。


私は、ちょこちょこと挙動不審にカニ歩きしながら近づいて。


「あっ、あのっ。これ渡すように言われましたっ!」


主語も何も分からないことを口走って、手前にいた男子に手渡す。


そして、私はこれでしっつれいしまーす……とばかりに、逃げるようにその場をさーっと離れた。
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