溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「この間、彼女んちでさ~……」


そんな会話にも飽き飽きして、ふと教室の隅に目を向ければ。


相沢が大きく手振り身振りで、話している姿が目に飛び込んできた。


相沢って、金子と石黒と仲がいいのか。


金子とは同じ中学だったし、石黒は男子の中でもなにかとウワサである意味目立つ。だが、その影に隠れている相沢の存在は知らなかった。


相沢だって俺の前で媚でも売ってくるんだろうと思っていたが、今のところ、俺にまったく興味なんてなさそうだ。


よそよそしいし、避けられているのかとさえ思う。


俺って、嫌われてんのか?


普段は見られることがイヤでたまらないのに、そんな態度を取られると気になるなんて、矛盾しているのはわかってる。


なにを話しているのか分からないが、相沢はムキになっている。


金子と石黒はそれを軽くあしらっている感じだ。
< 92 / 326 >

この作品をシェア

pagetop