溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
間違ってもリーダー的存在じゃないな。どちらかと言えば、いじられキャラなのかもしれない。


そんな相沢が俺のことを避けるなんて。


……生意気。


「なんか面白いもんでもあんのか?」


「は?」


「すっげー、意味ありげに笑ってたけど」


どんな顔してたんだよ、俺。


新太に指摘されて、確かに緩んでいた顔をもとに戻した。



新太に誘われゲーセンに寄り、家に帰るころにはもう日が暮れていた。


玄関に鍵を差し込むと、手ごたえもなくするりと回った。


扉を開けると、黒いローファーが隅っこの方にきちんとそろえられている。


……今日から相沢とふたりきり。


女とふたりきりなんてあり得ないが、相沢なら害はなさそうだ。


2日暮らしてみてそう思えたから、承諾したんだ。


俺に色目を使うような女なら、すぐにでも自宅に帰ってもらってただろうな。
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