溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
「私作りますよ! 学校帰りにスーパーに寄って来たんで」


「え?」


「今日は、永瀬くんの大好物だというハンバーグです」


いそいそとキッチンへ向かい、エプロンをつけながらにこりと笑顔を見せた相沢。


……っ。


思わず、目をそらした。


「……べつに、大好物とは言ってねーし」


今までオドオドして目も合わせてこなかったのに、急にそんな顔見せんなって……。


「ついテレビに夢中になっちゃってごめんなさい。お風呂の用意は出来てるんで、ご飯作っている間に入ってきちゃってください」


包丁の音がトントンとリズムを刻むなか、声を掛けてくる。


……そうだ。


コイツと今夜から二人きり……。


そんな言葉が、それをリアルに感じさせ、体に緊張が走った。


わけもなく、ごくりと唾をのむ。


「あ、ああ……じゃあそうする」


なんだか調子狂うな……。
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