三月には髪を切る〜この恋は叶いますか?〜
「すみません。よろしければ、髪の毛をいじってもいいですか?」

清高に訊かれ、未来は頷くことしかできない。イケメンに言われて断る女性はいないだろう。

「ど、どうぞ。こんな髪でよければ……」

顔を赤くしながら未来はなんとか言葉にすることができた。清高は「ありがとうございます」と微笑み、未来の髪に編み込みをし始める。

「わあ!」

ヘアアレンジされた自分を見て、未来は笑顔になった。手先が器用ではないため、編み込みなど複雑なことはできない。だからこそ、普段とは違う自分の髪型に驚いた。

「どうですか?」

「とっても素敵です!花巻さんはすごいですね!」

最初の緊張が嘘のように、未来は清高と話し始めた。しかし、しばらくすると「清高〜!!」と声が聞こえた。

「えっ……」

清高を呼んだ人物を目にした刹那、未来は言葉を失った。

パーマのかけられた髪を揺らしながら、ふわふわのレースのついたロリータ服を着た女性が走ってくる。そして、「清高〜」と言いながら清高に抱きついた。
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