同居中のイケメン幼なじみが、朝から夜まで溺愛全開です!
「綾乃」
喉の奥から絞り出したような声に、クラクラとめまいがしそうになった。
惑わされてるそんな自分が、たまらなく嫌なのに……抵抗することができない。
見つめ合ってたら廊下の奥の方から人の気配がして、無意識に千景くんの胸を押し返した。
ほとんど力が入ってなかったせいで、あっさりと離れる千景くんの体。
わたしは足元に視線を落としたままくるりと方向転換をした。
「か、帰る!」
そう言い残し、パタパタと小走りでその場から走り去った。
猛ダッシュで階段を駆け下りて、風通しがいい生徒玄関まで一目散。
「はぁはぁ……」
ローファーに履き替えて未だ高鳴る鼓動を抑え込もうと、左胸に手を当てる。
バクバクしすぎっ。
それにしても、どうしよう……。
逃げちゃった……。