同居中のイケメン幼なじみが、朝から夜まで溺愛全開です!
「綾乃は何に出んの?」
サンドイッチを頬張りながら、千景くんが聞いてくる。
「バスケだよ」って答えると「応援しに行くね」って返事があった。
千景くんはどうやらサッカーに出るらしい。
「あいつにだけは、絶対負けない」
なぜかものすごく闘志を燃やしていて、目の奥が煌々とまるで火でもついてるみたい。
あいつって、誰だろう。
「珍しく千景がやる気になっててウケる〜! いつもはイベントになんて出ないくせに〜! あ、ちなみに俺もサッカーだよ」
「サッカーができる人ってカッコいいよね〜! あたし、サッカーって大好き」
可愛く笑う柚の向かい側で、東条くんがボボボッと頬を染める。
「いい、一ノ瀬さんも観にくるの?」
「もちろん。うちのクラスにはサッカー部の次期エースのイケメン今野がいるから、特Sには負けないよ〜! ね、綾乃!」
腰に手を当てながら、フフンッと威張る柚。
もっぱら東条くんを応援する気はないらしい。
「イケメン……。千景……俺も全力でやる。そして、必ず勝とう。絶対負けない」
一瞬、黒いオーラが東条くんの周りを覆った気がした。
「当たり前」
そう言いながら握手を交わす千景くんと東条くんのバックには、メラメラと燃えさかる炎が浮かんでいる。
「あ、イケメンは余計だったかな」
そんな柚の声は東条くんには届いていないようだった。