トッキーチャックGOGO
私はヒーローではない。
そう自覚する。

深呼吸。

どうする?俺。

目の前の状況を冷静に考える。


人通りの多い路地を避けて、裏道へ回ったらコレだ。
若い女の子が、男にナイフを突きつけられていた。男は逆上しているのか、目は充血しナイフを持つ手は震えていた。
今にも刺す、そんな感じだった。

正義感。そんなもの待ち合わせてたっけ?
自問自答。
冷静。

ここでの問題は、相手が若い女の子ってことだ。
若い女の子は、助けねばならない!
それが、俺の倫理。


「おい!」
声を掛けると、男がびくっとして、こちらを振り向く。
「あ〜〜っ!!!」
雄叫びを上げて、ナイフをこっちに向けた。

やっちまった…。

ナイフを向けるってことは、て・きだな。
敵。

それだけで充分だった。

敵って事は、やっつける。
それだけだ。

トキオは、腕を構えた。
トキオは、元プロボクサーだった。







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